この世には幸せな人間とそうでない人間がいる。

シュタゲをプレイしていない人間は、これからシュタゲを楽しむことができる。ゆえに、幸せである。

シュタゲをプレイした人間は、その感動を越えるゲームに再び巡りあうまで、少なくとも10年の歳月を要するだろう。

だが最も不幸せなのは、シュタゲをプレイしていないのにネタバレをされた人間である。



というワケで、追伸にネタバレ感想を書きますがトゥルーエンド未クリア者の閲覧は禁止としますw
先にネタバレを読んでしまって文句を言われても私は一切の責任を取りません。
未プレイ者向けの感想は以下に。
本音を言うと、未プレイ者には一切の事前情報なしに楽しんで欲しい。
特に公式サイトは罠というか素晴らしくネタバレしまくりやがってますので絶対に行ってはいけないw
従って「面白いからやってみろ」以外にかける言葉はないのですが、それでは食指が動かないよ派の方へ向けた感想。


まず始めに、シュタゲの一番優れている部分はインターフェースである。これはガチ。
コンシューマのギャルゲ・ADVといったゲームは数あれど、その殆どがコンシューマである利点を忘れ去っている。
Aボタンを押すだけのゲームならコンシューマで出す意味は無いということである。
それならPCの方がマウスがある分圧倒的に優れている。
物語の鍵となる『携帯電話を取り出す、使う、しまう』そしてTipsの確認、これらをシームレスで実装するにはコンシューマ以外はあり得ない。
とくに携帯電話を能動的に使わせることによって、プレイヤーを自然にシナリオへ介入させる。これが大きな意味を持ったと思う。
受信メールボックスやアドレス帳のカーソルを動かすあのもどかしい感覚もいい。
また、壁紙や着信音の設定もできるなど細部の作りこみも素晴らしい。
据え置き不況のこの時代に、「コンシューマだからこそ楽しめるシステム」を考案し、実際にやってのけてくれたイケメン志倉には素直に感謝したい。

シュタゲは上記の通り独特のインターフェースを持つが故に、選択肢と呼ばれるモノが存在しない。
『電話をかける/かけない』『電話に出る/出ない』『メールを出す/出さない』『メールに返信する/しない』『メールの返信内容』といった行動によって分岐する。
メールの返信は、届いたメール本文の中にあるキーワードのうち一つを選んで、そのキーワードに対する内容を返信する。返信する本文は送信前に見れるが、キャンセルは不可能。
だがそれがいいのだ。本来、誰かとやり取りしている最中にあれこれ回答が変化することこそがおかしいのかも知れない。
こうしたインタラクティブ性が、プレイヤーをシュタゲの世界へ感情移入させる大きな演出の役割を果たしている。これはゲームだから出来ることであって、小説や映画では決して為しえない。

そうしたノベルゲーの利点を十分に生かしている今作だが、ADVの要と言えばもちろんシナリオである。
想定科学アドベンチャーの名を冠するとおり、シュタゲでは架空の科学が活躍する。
本作では「ブラックホール」「タイムマシン理論」「因果律」あたりが主題であろう。
だが、SFが苦手な人でも取っ付き難いということはない。私も覚悟して挑んだが、想像していたよりずっと簡単で分かり易いものであった。
たが、それはシナリオがチープであることと同意ではない。小難しい理屈を捏ね回すだけが重みのあるストーリーの作り方ではないということだ。
もちろんある程度の前提知識はあった方がより楽しめる。ネットの都市伝説や陰謀論、舞台が舞台だけに2ちゃん用語やアニメに詳しいとさらに良い。
しかし、基本的に要解説と思われる単語はTipsで一発確認できるよう設計してあるため、初心者でも恐れず挑んで欲しい。
理論的な部分はシナリオ中でも度々ミンゴスが丁寧に解説してくれるしね。ヽ(*゚д゚)ノカイバ-
2ちゃん用語満載の会話については、「リアルで2ちゃん用語を使う人って……」と敬遠するなかれ。
気心の知れた仲間同士であれば、あれくらいのやり取りは普通にあり得る。そういう意味ではリアリティのある会話である。
それどころか、岡部が何故厨二病でなければならなかったのか、それについて分かってくると、最後はその厨二病がカッコよく感じられるはず。
なお作中に2ちゃんねるならぬ@ちゃんねるが登場するが、スレのやりとりとか煽りとかがリアルすぎて笑ったw

さて、シュタゲはネタが豊富な会話と濃厚なシナリオが展開されるわけだが、これだけの大長編を複数のライターが参画して殆ど話の矛盾・破綻が無い時点ですでに奇跡である。
王道的な展開もあれば予想もしなかった方向へ進む場合もあり、プレイヤーを楽しませることに事欠かない。
最初から最後まで張り巡らされた伏線が、やがて一本の線へと綺麗に『収束』していくシナリオには畏怖さえ覚える。
だが何と言ってもシュタゲの傑作たる所以は、主人公への感情移入度の高さが近年稀にみるレベルであることであろう。
音楽、効果音、演出、シナリオ、台詞、それらが全て一体となって、プレイヤーを『岡部倫太郎』に仕立て上げてしまう。
電話がかかってきたときの心臓が跳ね上がる感触。
繰り返される絶望的な孤独と悲哀。
要所要所で背中をゾクリとさせてくれる展開に病み付きになること間違いなし。

そして何よりも、このシナリオを支える声優陣の熱演には心打たれるものがあった。
どちらかと言えば一枚絵やエフェクトは少ないのだが、むしろ、それ故に想像力の余地を残しているとさえ言える。それを支えるのが声の力。
特に岡部役の宮野真守が最高だった。最初は某死帳の月がアホになったみたいなキャラなのだが、最後には岡部はコイツしかありえないと思えるほど全身全霊を込めた演技を見ることができた。
プレイヤーが岡部ならきっとこの時こんな声を出すであろう、を見事に体現してくれている。
花澤ボイスには欝展開にも何度となく癒してもらったし、ミンゴスの厳しくも優しさを垣間見せるツンデレには何度も心救われた。
ゆかりんの力強い演技、モモーイの幼くも妖艶なボイスなどベテラン陣も堅く、小林ゆうと後藤(弱)は今までにない新しい一面を見せてくれる。
そして主人公の親友にしてスーパーハカーを演じた関智のピザボイスも秀逸w
陣容は厚く、シュタゲの世界を彩ってくれました。

BGMも素晴らしかった。どれくらい素晴らしいかと言うと、前に買ったゲームサントラはVP1という私がサントラを間違いなく買うであろうぐらいには素晴らしかった。
「Believe me」など感動のシーンで流れる曲などすでにパブロフの犬状態で、サウンドモードで曲聴いただけで涙が出ます。
何度見てもカッコいいOPも必見。一度クリアしてからOPを見ると、ネタバレしすぎだろって思うくらい色んな意味が隠されているのに気付きます。



キャラデザが苦手……という人も、シナリオに嵌ってしまえば絶対気にならなくなりますよ。ええ。それぐらい魅力的なシナリオなのは間違いありません。
私はむしろ好みの絵柄なんですがね。

評点は文句なしの100点。
もちろん欠点がまったく無い訳ではないですが、全体的な面白さに比べれば完全に誤差のレベル。
『YU-NO』や『Ever17』同様、ADVの傑作として末永く語られる一本です。


余談ですが、シュタゲはPS3に移植してあげて欲しい。
宗教のせいでプレイできず、盲目的に叩き続けるしかないGKが憐れで憐れでしょうがない。
トゥルークリア後のこの穏やかな気持ちは一体何だ……痴漢だとかGKだとかどうでもいいじゃないか……。
一人でも多くの人が運命石の扉に辿り着きますように。


以下は運命石の扉に辿り着いた人向け感想。
色々書きたいことがあるが、まとまらないのでトピックごとにまとめてみる。

・泣き所
前から薄々思っていたが、私は献身的な態度や台詞に非常に弱い。
まゆりの「自分は重荷」発言だとか、岡部を庇って死ぬところで「役に立ててよかった」とか、ああいうのはダメだ。涙腺が1秒と保たない。
岡部が自分のハラワタ抉りながら、気絶させたクリスを「痛かったか?済まなかった」って髪を撫でるシーンとかもうね、お前何言ってんだよ……(´;ω;`)って思う。
鈴羽が「失敗した失敗した失敗した(ry」ってメチャクチャ負い目に感じていたあの手紙にも、「そんなことねぇよ!お前はよくやったよ!」って言ってやりたくなる。
フェイリスの「また会おうね」で締めくくられる過去修復Dメールが健気過ぎて涙腺崩壊した。
後は因果律のメルト〜境界面上のシュタインズゲートまでの紅莉栖関連全部な。エンターキーを押す寸前に飛び込んできた笑顔とか最後に再会したときの表情とか、あれは卑怯だ。反則すぎる。
ポジティブな泣き所としては、やはり最後のオペレーション・スクルドが15年後の岡部から発令されるシーン。ここで再び厨二病に戻る岡部がカッコよすぎるだろ常考。
厨二病が厨二病として描かれてカッコよく見えるなんて、今まで想定したことなかったわ。
そしてそこから繋がる、紅莉栖に対する「俺はお前を助ける」という台詞。一度目の失敗があってこそのこの強烈な台詞。心が震えました。
そんな諸々を潜り抜けて、トゥルーエンドで全員がそれなりに幸せを手に出来たことが本当に嬉しい。
オカリンが死んでグッドエンドとか欝すぎるからなぁ。

・嫌いなキャラ
どうでもいい端役だったのに中鉢はラストで一気に嫌いになるなw
綯は電車の件については偶然偶然と我慢してきたが、萌郁の件でこのクソガキぶん殴ったると思えるようになる。
あとトゥルーエンドでM4、綯、FBが並んで出てきたときは鼻水噴いたわw

・トラウマ
ゲルまゆ。「ひいいいぃぃぃぃぃっ!!Σ(゚д゚lll)」ってマジ絶叫した。
全CGの中で一番見つけにくいCGなので、トゥルー後に回収してしまった人もいるとか……。
公式は公式でゲルまゆをゲーマーアイコンで配信という暴挙に。どんだけ心の傷を抉れば気が済むんだ。
あと不可逆のリブート。救いはあるけどオカリン辛すぎて見てられないよぅ。

・背徳と再生のリンク
一文字もなく、ただ1枚のイラストとエンディング名だけで、「ああ、娘にまゆりって名付けたんだろうな……」って思わせる演出が素晴らしい。

・分離喪失のジャメヴュ
フェイリスエンドだが一番バッドエンドっぽい。リーディング・シュタイナーの最大の欠点が分かるエンドとしては大きな意味があったと思う。
エンディング曲は雷ネットのテーマソングで良かったんじゃないか?w

・透明のスターダスト
紅莉栖一筋な俺でもオカリンとまゆしいの組み合わせは捨てがたい。隣でまゆしぃが「えっへへー♪」と笑っていてくれることに勝る幸せがあるだろうか……そう思わずにはいられない。
最後に空に手を伸ばして入るエンディング演出はトゥルーより好きかもしれない。

・萌郁エンド
かと思ったら綯たんに酷い目に合わされたでゴザル><
指圧師の能力がまさか伏線になってたとはなー。見事に引っ掛けられた。

・境界面上のシュタインズゲート
β鈴羽のが髪型可愛いよね。
一切他のEDをクリアせずに到達できると知ってびっくり。いや、何も見ずに一回目でトゥルーに辿り着ける奴がいるとは思えんが。
特に後半のメール返信分岐が大変すぎる。青森への行き方で「深夜バス」選んでたせいで到達できんかった……。あれ攻略情報なしで到達できた奴は凄いわ。
トゥルーエンドはフェイクスタッフロールまで因果律のメルトとまったく同じなので、失敗したか?と思わせておいてあの入りですよ。あれは神演出。
泣きすぎて水分補給のために飲み物取りに行ってたけど慌ててテレビの前にすっ飛んだわw
物語の冒頭の冒頭から張り巡らされていた最後の伏線回収に背筋がぞくぞくしっぱなしでした。特にあのムービーメール伏線は凄すぎた。α世界線じゃ再生も出来なかったわけだよ……。
そして「紅莉栖の生きている確率は50%」「紅莉栖が死んだことを岡部は認識していない」「世界を騙せ」のキーワード。ここで、ここでまさかのシュレディンガーときたもんだ。本当に感動した。まさにSFというものを最後まで貫き通してくれる。
最後のED曲も良かった。タイトルの「Another Heven」だけでウルッときちゃうよ。
いとうかなこの歌声はシュタゲの雰囲気にマッチするねぇ。やっぱ。

・紅莉栖
俺の嫁。海馬可愛い。
「うっさい、処女で悪いか!」を何度もリピートしたのは俺だけじゃあるまい。
因果律のメルトで披露する脳科学デレ、あるいは脳科学的イチャイチャは2828しすぎてもうね。その前でダバダバ泣いてたから、多分このアトラクタフィールドで一番キモい顔をしていたのは間違いない。
あと不謹慎ながら、「ねぇ、岡部!いいのっ!?」「タイムリープしてもいいの!?ねぇっ!」にエロスを感じた。
最初はクールで強気一辺倒だが、後半は色んなミンゴスが味わえるキャラだったと思う。
ちなみに1.097千早。CGではあまり印象がないが、綯とるかを除けば最小だったりする。両親が不和で貧乳……あれ、どっかで聞いたような。

・オカリンの中二病
最初は事あるごとに何言ってんだコイツと思っていたが、中盤のシリアス展開以降は本人も恥ずかしくなってるのが面白い。誤魔化しや照れ隠しで演技をすると、聞いててこっちも恥ずかしくなったぜ。
ところが最後の最後になって厨二病大復活。だがそれがいい。マジでカッコよく感じるから困る。
今思えば、リーディング・シュタイナーはプレイヤーの目線(いわゆる神、あるいは絶対的観測者)を岡部倫太郎と同じレベルに落とし込むために必須でしたね。主人公とプレイヤーの“結果を知っている事実”をダブらせて感情移入させる、いい手法だと思います。

・sg-epk@jtk93.x29.jp
15年後のオカリンのメルアド。ここに空メールを送ると……?
思わずニヤリとしました。こういうネタ仕込みは嬉しいね。

・ダル
シュタゲ最萌キャラ一強。電話レンジを発明し、SERNのサーバにハッキングし、IBN5100を使いこなし、さらにはタイムマシンの修理まで行ってしまう超万能スーパーハカー。
紅莉栖の天才っぷりを圧倒する反則キャラすぎるのが難点かな。
でもシュタゲは、ダルのスーパーハカー能力だけでは基本的に解決できない部分にストーリーの焦点があるので、あまり気にはならなかった。

・橋田親子
ピンバッチの頭文字は気付いたけど、7010が実は2010でしたってのは拍子抜けた。
ただダルがAB型で鈴羽がO型なので、実は親子じゃない説が出てますね。養子だったのかも。

・神をも冒涜する12番目の理論
ラジオCMで紅莉栖が言ってたけど、タイムリープ理論のことだったのね。

・システム
スキップ、バックログ、クイックセーブ、クイックロードが快適。章ごとにオートでクイックセーブしてくれるのもありがたいね。
箱の仕様上ゲーム終了時にシステムセーブしないとクイックセーブが残せないのがちょっと気になるが、難点というほどのことでもなかった。

・音楽
「GATE OF STEINER」(タイトルで流れるあの曲)とそのアレンジが悉く素晴らしい。
やっぱ阿保剛は神だわ。
「Belive me」「Solitude」はもう曲だけで泣ける。

・CG
風呂場のCGをアップで見回せて満足した。あのCGはソニーチェックを通らない気がするよw

・OP
もう50回くらいは見た。よく見るとゲルまゆもβ鈴羽も写ってる。
落下する人工衛星は見事なミスリードでしたw

・PV
トゥルークリアしてから見たけど、トゥルーエンドの台詞から始まって「相対性理論ってとってもロマンチックで……」の神台詞までバラすのは酷いと思うw

・疑問点
考察サイトなどで色々論議されてますが、伏線をほぼ全て回収したシュタゲにもやっぱり謎は残ります。
特に気になるのが以下の2点。

1)何故SERNのサーバに残された最初のDメールを消しただけでβ世界線に戻れるのか。
萌郁の発言から、Dメールが存在することを2010年時点でSERNに知られていたと思っていたのですが、それが違うのかな?Dメールが発覚するのがもっと未来であり、SERNは未来からの指示でラウンダーを派遣した……のであれば一応辻褄は合いますが。
もしくはあの消去自体がDメールを利用したもので、Dメールがエシュロンに捉えられた直後に削除した、とか。個人的には後者だと思ってますが。

2)SERNまでの専用回線は一体何時誰が用意したのか。
ありえない速度の専用回線ですが、300人委員会の権力があれば引くこと自体は不可能ではないかも。ただし、オカリンたちのことを把握してから引くのは短期過ぎてどう考えても無理があるのでは?
FBのために用意したってのも考えづらい。ラウンダーは一山幾らの使い捨てですしね。
個人的には、未来からのラボメン指示説を信じたい。SERNに無理やり協力させられた未来の紅莉栖がタイムリープによる未来改変の可能性を信じて、SERNを通して予め高速回線を設置するよう指示させた、とか。その方がロマンがあるかなって。

・ポコン♪
いいシーンで実績解除とフレンドログイン自重しろwwww
最後は回線ぶっちぎってプレイしてました。

・2010年8月
多分もう一回シュタゲを1からやると思う。それまでにプレイした記憶がさっぱり消えますように。


久々に巡り会えた、誰にも憚らず神ゲーと言える作品でした。
トゥルークリア後はなんか満足すぎて今週仕事に手がつかなかったw
それでは、エル・プサイ・コングルゥ。