舞踏会を夢見る少女たちに突然与えられた苦境と困難。
いにしえのお伽話になぞらえたように奪われる幸せな場所。
迷った彼女たちが選びとった道とは。

ネタバレ防止のために本文は続きに格納します。

第15話「When the spell is broken…」
美城常務によって発令されたシンデレラプロジェクト解体の命。
いや、シンデレラプロジェクトだけではなく、346プロの全アイドル部門が急遽白紙に戻された。
そして、1つのビッグプロジェクトに統括するのが常務の目的であった。

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きっちり養生している画が無駄に現実的だw
さて、常務による大改革の断行だが、これは何とも厳しい決定である・・・と思ったが、どっかのプロダクションでは「一定期間内に目標ランクを達成できなければ解散」「トップアイドルになっても1年でユニット引退」とかいうとんでもない悪行を重ねる社長(現会長)がいたので、常務は実はまだ有情なのかもしれない(笑)
というのも、そもそも346プロみたいな大きい会社は実力主義の論理思考がっちがちなのがお約束。それに対抗して765プロみたいな小さな事務所が愛と友情で勝利を掴み取るのが常道。
それなのに、346プロはあまりにマイペースなアイドルが多すぎる。
常務のやり方は、大企業として本来あるべき姿に回帰しようとしているとも言える。

Shine!!
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ここで新OP。つまりこのプロジェクト解体こそが、後半クールの新たな幕開け。
CPの現状と進歩を再確認する役割をもった14話に新OPがなかったのも頷ける。

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生まれたての勇気抱きしめしまむーすき。

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このカット、魂が宿っている。

曇り空でも 星はきっと そこにあるよね
信じたいな 目には見えない小さなShining Star
これはStar!!との掛詞、2つ合わせて「Shining Star」がテーマなんだろうね。
おねシンのPVからそうだったけど、星の輝く夜のシーンが印象的に使われるのは舞踏会が夜に開かれるからか。

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壊れた文字盤の意味するところ、それは解けた魔法?
そしてサビの歌詞に重大な意味が隠れていそう。
ねえ 探していたのは 12時過ぎの魔法
それはこの自分の靴で
今進んで行ける 勇気でしょう

新たな光に会いにゆこう
生まれたての希望を抱きしめたら

新たな自分に会いにゆこう
この笑顔が君まで 届くように走れ!
おそらくこれを聞いて訓練されたアニマスP、デレアニPは察するものがあると思うけど、12時までの魔法が前期となぞらえるなら、これからアイドルたちが自分の力で進んでいくのでしょうか。
OPで映る時計がすでに12時を指しているのも気になる。
魔法が解け裸足になったシンデレラたちの衣装が今度は明らかに王子様をモチーフにした衣装であることからも、王子様を待つシンデレラではなく、自分が王子様になってしまう彼女たちの未来を暗示しているかのようです。

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まあそれはそうとして!今回も文句の付けようのない素晴らしいOPでございます・・・。
サビの前に1回転調するとこから涙が出る。
ガラスの靴と裸足の対比とかね。もう泣くしかない。

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このノースリーブちゃんみお愛おしい。


シンデレラプロジェクト二課
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豪華なプロジェクトルームを追われ、地下資料室へ集められた灰かぶりたち。
思わずショムニかよ!と思ってしまいましたが今の若い子は知らなそうだ・・・ねえナナさん?(2013年にリメイクしてますから!)

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改めて美城常務の狙いが語られるが、ちゃんと部下に説明するあたり企業人としては正しく仕事をしている。
特に「対外的な346のブランドイメージを確立する」の文言には膝を打った。黒井社長も自社ブランドに関しては気をつけていることが端々から伺えるほど、ブランド戦略は大企業ならではの命題だと思う。
同じ15話で生っすかサンデーやってた事務所みたいに、失うものは何もない体当たりの覚悟だけではダメなのだ(涙)
それに常務はアイドルの個性を否定しているわけではなく(あくまで『346ブランド』の枠内であろうが。上田しゃんは・・・)、多数のアイドルを抱えて成果が出るのが遅いのを問題視している。
具体的には語られていないが、売れないアイドルを抱える金銭的負担は少なくないはずだし、それが問題になったからこそ美城常務が送られてきたのではないだろうか。
いくら金持ちの会社と言えども、資金を湯水によう浪費できるわけではない。いや、そういう会計にうるさいからこそ大企業なのだ。
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一方、プロデューサーの反論は人情論に近い。あくまでフィクション・お伽話であればこそ人情論が真理側に立つが、現実的に考えれば美城常務の計画に分がある。だからこそ、他の会議出席者は反論もしなかったのだろう。
もっとも、上役の社長令嬢に面と向かって意見できる人間がそうそういるとは思えないが・・・しかもCV田中敦子の。
その勇気に免じてか、あるいは熱意に何かを思ったか、常務はプロデューサーの提案を査収することを了承した。

この手のお話では最初から聞く耳持たない上司というパターンが非っ常〜に多いのですが、常務は厳しくあるが傲慢ではない。むしろ優しみを感じる・・・。
我々視聴者はプロデューサーの考えこそが正解であることを初めから知っている。その前提を都合よく無視して、常務を悪く論うのはちょっとフェアな態度ではないかな。

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埃だらけの資料室で、今後の方針について説明するプロデューサー。
私を信じて待っていください、と言うもののその声に自信はない。CDデビューと違って、今回はプロデューサーが主導的に管理できる事態ではないからだ。
ただ、アイドルたちにも成長はある。プロデューサーを信じて待つことはもう出来る。その上で何かできることはないか、彼女たちは考えるのであった。


一斉に解けたシンデレラの魔法
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346プロを覆う不穏な空気。先の見えない不安が巨大な渦となって押し寄せる。
ブルーナポレオンとすれ違うカットは2話との対比。しかしブルーナポレオンも他のアイドルもみんな私服であることから、彼女たちにかかった魔法が解けていることが分かる。
346プロ自体も、お城のような華々しさを一時的に失っている。

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ニュージェネと奈緒加蓮の邂逅。
奈緒加蓮にとって卯月、未央、凛はまさしく先輩だが、つい最近まで一番の新人だった3人にはまだ先輩扱いは慣れないところ。
未央に褒められて口ではそんなことないと言いつつも顔の緩みが抑えきれない奈緒の性格は非常にわかりやすい一方、加蓮の特徴であった最初期の「ちょっとワガママなサボりっ子」という性格はオミットされてしまっているようだ。
アニメでは加蓮の変遷まで全て描ききれないとの判断か、美嘉Pの前では素を出すのだろうか。

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美城常務の命令で奈緒加蓮のCDデビューが延期になったと知り、未央は怒りを露わにする。
CDデビューに関しては一悶着あったシンデレラプロジェクトだし、何よりその苦労と感動を一番強く体験した1人でもある。それを勝手に取り上げられたと聞いては黙っていられない。
そんな未央を諌めるのは凛。
未央が常務に直談判したところで意見を変えることはまずないし、下手をすると逆にプロデューサーの立場を悪くしかねない。
しかし未央の行動は「待つだけじゃなくて、何かできることをしたい」という気持ちも含まれているため、凛も完全に否定ができなかった。
そんなニュージェネの最後のストッパーになったのが、意見を求められた卯月。
卯月はいつものガンバリマスを出しているように見えるが、「ケンカはよくないって、その・・・」と未央と凛が常務にケンカを売りにいこうとしていることはちゃんと理解している。
その上で、今自分たちができる「何か」はレッスンを頑張ったり、決まっているお仕事を頑張ることなのだ。
未央と凛が迷った時、卯月は方位磁石のように立って道を指し示すことはあったが、今回のように情動的に道を誤りそうになった未央と凛を引き止められたのは初めてのことかもしれない。
ニュージェネの絆、ここにありである。

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仲間との仕事が何より楽しかった智絵里からレギュラーを奪った常務を許すな(ぉ

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ナナさんが17歳とは思えない貫禄である。

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家族の笑顔を守るために戦うパパの図。


反逆するプロデューサーと、反逆するアイドルと
楓さんの「柔軟剤・・・柔軟剤・・・」はトップアイドルと某洗剤の商品名をかけたアーケード版アイマスのダジャレネタの1つである。

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美城常務が新プロジェクトのメンバーとして最初に選んだのは高垣楓だった。
346プロで最も人気のアイドルに声をかけるのは当然である。そしてメタネタだが、その役割が実際のデレマスゲーム内でもガチャブーストの影響がなければ間違いなく総選挙で圧倒的1位を取っていただろう無冠の女王である楓さんなのがなんともはや。
しかし逆に言えば、現状の高垣楓の人気でも常務にとっては「十分な成果がでていない」のだろう。
そのために提案したのが音楽番組のメイン特番である。
いや、この特番だけでなく、常務は今後も次々と大きな仕事を用意してくるだろう。それくらい彼女には圧倒的なプロデュース力(ちから)がある。
メイン特番、映画出演、全国ツアーなど、まさにトップアイドルに相応しい仕事をこなすことによって、世間にも彼女こそがトップアイドルであると認知させる。
それには、トップアイドルに相応しい人間を選ばなければならない。トップアイドルの器ではない者にどんなに大きな仕事をさせても成果は得られない。それが常務のプロデュース方針だ。
だから、小さなライブステージでの仕事などトップアイドルには似つかわしくない。常務はそう断言した。
ある意味では真理である。人気アイドルが小さなハコでイベントされてもチケットの入手難易度上がるだけだし・・・。
常務にとっては高垣楓ほどのアイドルにこんな小さな仕事しか用意してこなかった担当プロデューサーにも眉をひそめたことだろう。
ところが、常務はその仕事を楓本人が希望していたことを知らず「粗末な小屋」と吐き捨ててしまったがために・・・。

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ひいいいいいいいい怒ってはるうううううううううううううう:(;゙゚'ω゚'):
なんだろう、「怒り」を表す演出や描写、隠喩さえも一切ないのに、徹底して使わないが故にとてつもなく怒っていることを見事に表現している。『表情の消えた笑顔』を思わせる早見沙織の演技も見事だ。

「あの」常務の仕事を「あの」高垣楓が蹴ったという噂は、すぐに346プロ内に広まった。
まさに神秘でクールな楓らしいとシンデレラプロジェクトの面々にも好評である。
しかしその実、私生活ではダジャレや酒が好きな面も語られるなど、謎は一層深まるばかりであった。

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「理由を吐くまで、一滴も飲まさせないからね」
吐くまで飲ませるのではなく、飲ませない方が拷問になることをよく知っている付き合いの深さが伺える年上ーズのやりとり大好き。

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楓に触発されて常務に対抗する企画書を考えると言い出したみく。以前のように無謀な案の押し付けではなく、現実としてあまり力になれないのは分かっているけど、それでも何かしていないと落ち着かないといったところ。
その代わりに美波が提案したのは部屋の掃除だった。
きらりの莉嘉みりあへのモチベーションの上げ方が完全にママのそれだ・・・。
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『自分たちらしいやり方』へ
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ニュージェネの3人は、疲れのあまりひどい人相になったプロデューサーと共に某電器店のミニライブイベントに赴く。
そこには楽しそうに団扇にサインをする高垣楓の姿があった。
先に準備を終えた3人はみくの言っていた企画書作成に取り組むことにする。
以前は参加していなかった3人がやるのがミソ。
未央と凛はそれぞれ個性を生かした案を出し始めるが、卯月だけはなかなか浮かばない。
思うに、卯月は真面目すぎるのではないかと。こういうときは最初から絶対に成功するアイデアなど出てこないので、まずは雑多にアウトプットして思考を整理するのが重要だ。
頭の中だけで考えすぎると容易に煮詰まってしまう。卯月にはどうもそのケが感じられる。
結局3人とも妙案は浮かばなかったが、しかしプロデューサーにとっては3人がこの場所を守ろうと同じ気持でいてくれたことは何よりの励みであった。

いつも通り頑張ると決めた卯月・凛・未央は、今日の前座イベントも普段通りに成功を収めた。14話でも大学祭でステージを成功させていたが、今回も同じように成功できたのは卯月が心を一つにしてくれたおかげだ。
限定うちわを求めてファンが殺到してしまうトラブルに見舞われたものの、そちらは楓の器量とファンの優しさのおかげで事なきを得た。
その光景に自分たちが目指すアイドルの姿と同じものを見た3人は、配布の手伝いを申し出るのだった。
・・・正直、応援してるアイドル手ずからグッズを配布してくれるチャンスに前座から受け取っても嫌な顔ひとつしないファンは菩薩のように寛大だと思うw
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「ここはライトがく、らいと思うわ」
「・・・だから、私が輝かなきゃね」
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高垣楓がこんな小さなステージで歌うことにこだわった理由。
それは彼女の初舞台がここだったからだ。
最初はほんの数人しか見に来てもらえなかったステージ。しかし、不安に押し潰されそうだった楓を支えて笑顔をくれたのは、応援してくれたお客さんの笑顔。
それがいかに楓にとって大切な思い出であるかは言うまでもない。どんな大舞台より、彼女はこの小さな、そしてとても大切な場所を選んだのだから。

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「私は、ファンの人と一緒に階段を登りたいんです。ファンの人と一緒に、『笑顔』で」
「それが私にとって、一番大事なことです」
「それが私のやり方です。・・・貴女とは目指す所が違う
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「今の自分を支えてくれているあの時の笑顔。・・・それを忘れずに進んでいきたい。一緒に輝いていきたいの」

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↑こいかぜが流れ始めたあたりからずっとこんな感じ

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雲の上の存在だと思っていたアイドル・高垣楓の在り方は、自分たちとまったく変わらないものだった。
3人にとって、今の自分たちの想いを大切にしたまま階段を登っても大丈夫なんだという、何よりも確かな自信に繋がっただろう。
そしてただの有名アイドルとしてではなく、真に目指すべき目標として、高垣楓はさらなる憧れへとなったはずだ。


つないだ両手を離さないで
そして、事務所に戻ってきたニュージェネとプロデューサーが見たのは、見違えるように綺麗になった新プロジェクトルームだった。
薄暗い倉庫に押し込められても屈することなく、彼女たちは自分たちのできることをやっていた。
おお見よ、その割烹着はまるでステージ衣装にも負けないほど可愛いじゃないか(ノД`)
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「私たちも、私たちらしいやり方でやろうよ!」
「それってきっと最強だよ!ね、プロデューサー?」
「・・・はい!」
最高の、最強のエールを胸に。部長に相談していた時のような不安げな表情とはうって変わって、見違えるように真剣な表情でプロデューサーは常務の元へ向かう。
プロデューサーの提出した企画書には、最後にある副題が付け足されていた。
『Power of Smile』
笑顔の力を信じて。


次回「The light shines in my heart」
その光は私の心の中で輝いてる・・・って、これ背景ウサミン星じゃない?!


前期からシンデレラを始めとして色んなお伽話をモチーフにしていたのは何度も言及してきましたが、今回はもうコッテコテなほどにシンデレラ!でしたねw
豪華な居場所を奪われて、灰かぶりになって、掃除をして・・・。
でもこれが1話じゃないところにデレアニの面白さがあります。1話でこの状態だったら何人かアイドル諦めそう・・・というifはさておき。
シンデレラストーリーといえば魔法のような偶然で労せず成功を掴むような使われ方をしますが、実際のシンデレラは違うんですよね。
まず生まれが貴族。ハイこの時点でほとんどの平民女性の夢が消えます。貴族令嬢という立場だからこそ、屋敷の掃除を押し付けられるような扱いが最底辺の描写として際立つのです。
加えて、魔法使いが用意したのは馬車とドレスだけ。シンデレラが舞踏会で見せたダンスや社交界のマナーといったものは、継母たちが来る前にシンデレラに叩きこまれていたものでしょう。
つまりそれだけシンデレラはずっと努力を積み重ねていたのです。
翻ってデレアニはどうか。第2話時点でのシンデレラプロジェクトの面々はシンデレラ足りえません。何故なら彼女たちは努力が足りず、舞踏会でのダンスやマナーをロクに知らない状態だから。
前半の13話を経ることで、ようやく彼女たちは灰をかぶる準備ができたと言っていいでしょう。
つまり前期デレアニはシンデレラ前日譚、シンデレラ・ゼロとでも言うべきお話だったんだよ――!

また、この15話はアニマスの14話と好対象になっていましたね。(間違ってもアニマス15話ではないw)
765プロの敵は961プロという明確な外の存在。しかし346プロの敵は身内という違いがあるものの、「自分たちらしいやり方で進む」という結論に至ったのは面白いシンクロニティ。
きっかけが片やファンレター、片や先輩アイドルという違いもある。いい先輩アイドルがいるのは346ならではですね。
そういう違いや共通点が今後お話にどういった影響を与えるのか。デレアニはアニマスを意識しつつもまた別のストーリーを見せようとしてくれるので、その辺り非常に楽しみです。
それでは。