道なき荒野を、何も持たない少女は進む。
技術もなく、知識もなく。その心には大きな情熱だけを持って。
道なき荒野を、何も持たない少女は進む。
1本のギターと、傍らを歩く1匹の猫だけを連れて。

ネタバレ防止のために本文は続きに格納します。
第19話「If you're lost, let's sing aloud!」
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今日も今日とて解散芸を繰り広げるアスタリスクの2人。
今回はこの2人と、人気上昇中のロックアイドル・木村夏樹のお話。


ロッキングガールズ
そもそも冒頭で*が揉めていたのは、舞踏会に向けていかにユニットのステージをパワーアップさせるか、という話。
レッスン室に向かいながら未央は自分たちも何か新しいことに挑戦する?と尋ねるが、
「私は、このままやってきたことをしっかり続ける、でいいと思う」
と凛が答え、卯月も笑顔で同意する。
確かに一理ある。無理なことをやろうとしてユニットの方向性がブレてしまったのでは意味が無い。
しかしそれは、前話でプロデューサーの提唱した「挑戦」とは異なる意向である。
何気ない会話だが、これからあるであろうNGsが岐路に立たされる話では、否応なく変化が求められるはずだ。そのとき彼女たちは何を考え、何を選ぶのか。

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レッスン室では美嘉・奈緒・加蓮がレッスンをしていた。その流れで凛・奈緒・加蓮でエボレボを歌うことに。
生まれるトライアドプリムスの息吹。
未央は素直に感心するが、ちらりと後ろの仲間に目線を向ける凛、どこかぎこちない卯月、その意味とは。
単純に読めば、卯月はニュージェネの絆にこだわりがあって、それが引き裂かれるような焦燥感を覚えている、と読み取れる。
後期が始まってから卯月には度々それに似た描写が差し込まれることがありますが、だからといって「卯月はこういうキャラだ」と断言してしまうのは性急な気もするんですよね。
良くも悪くも卯月の心情描写が少ないんです(凛も)。好反応でないのは明らかですが、どのような感情に基づいて描写されているのかが読み取れきれない。
7話で一度失われかけたNGsの絆を笑顔で待ち続けられた卯月を思えば、そんなに単純な話ではないと思います。

余談ですが、卯月の笑顔が曇ったとき一時的にでもそれを救う立場に美城常務がいたら面白いなーと思います。与えられた仕事を何でもガンバリマスタイプとは非常に相性が良さそう。
常務は悪人ではないので、その辺を原因とした確執が生まれる余地もありませんし。

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社内オーディションのため、星輝子・松永涼とともにレッスン室を訪れる美城常務。
偶然見かけた凛・奈緒・加蓮が歌っている姿に、何かを感じた様子でした。
レッスン室を離れ、一体何事かと噂する6人。
「美城常務がまた何か始めたのかな・・・」とまるでバ○キン○ンのような扱いであるw
奈緒は美嘉「先輩」と呼びかけますが、美嘉に先輩呼びは禁止とつれなく注意されます。こういう別ユニットのストーリーが垣間見える一瞬は楽しい。
どうやら、美城常務は木村夏樹を中心としたアイドルロックバンドを立ち上げるつもりのようです。
その話を通りかかった李衣菜もたまたま耳にすることに。
自分の中の「ロック」とは何か、それを表現するステージとは何か。そのアイデアを探し求めている李衣菜にとっては、それは聞き捨てならない話でした。

李衣菜の憧れともいうべき、ロックなアイドルの体現者。その木村夏樹が、『あの』美城常務の誘いに乗ったという。
李衣菜の心は千々に乱れます。
そんな折、寮に戻ってきた李衣菜は夏樹を見かけました。どうやら同じ寮生だった模様。
ちなみに夏樹が乗っているバイクはスズキのKATANA。ゲーム版と同じです。
李衣菜がアイドルロックバンドについて尋ねると、夏樹は「よく分からなかったけど面白そうだから飛び込んでみることにした」という何ともあっけらかんとした回答。夏樹の快活な性格が伺えます。
夏樹にとってはロックアイドルという個性を否定されているわけでもないので、挑戦しない理由はありません。
常務の方針自体は社内に広く知れ渡っているはずですが、それをして悪人と決め付けるような人間が誰もいないのがデキた世界観です。

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李衣菜の名前をうろ覚えだった夏樹は「だりーな・・・?」と呼んでしまいましたが、それがそのまま「だりー」のアダ名に。(だりーの発音が想像と違った人は多そう)
対抗してだりーも夏樹のアダ名を考えますが、とっさに出てきたのは「なつきち」というロックさの欠片もない可愛い呼び名。
それが逆に夏樹のツボにはまったのか、「なつきち&だりー」はこうして誕生しました。
「で、だりーはどんなの聴くんだよ?ロックは」
――悲劇は、その直後に訪れました。
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夏樹の矢継ぎ早の深い質問に、曖昧な返答ばかり返す李衣菜。
それこそにわかりーなのにわかたる所以なのですが、関係ないはずなのに視聴者の心にも痛い記憶を呼び覚まして苦しんだ人も多いのではないでしょうかw
夏樹はほどほどで質問を切り上げて、代わりに自分で作曲したデモCDを李衣菜に渡しました。
「やっぱいいよなー、ロックは。・・・新しいバンドのメンバー、いいサウンド持ってる連中だといいんだけどな」
やっぱりそれは、李衣菜の憧れた世界そのものの姿で。


Rockin'Emotion
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っていきなりのソロ新曲!?
次に出るシンデレラマスターシリーズのソロCD曲かとも思いましたが、普通にアニメ新曲の模様。期待されてるなあ・・・。
夏樹が歌っていたのは新宿BLAZE。アニメ関連のイベントでも行ったことがある人は多いのでは。ロゴとかそのまんまですw
李衣菜は毎日のようにライブハウスに行っていたとフカしていましたが、実はこれが人生で初めてだったのではないでしょうか。
なつきちに当てられたように、にわかに高まる李衣菜のロック熱。
その一方で、李衣菜はだんだんと仕事中もぼんやりと物思いにふけることが増えていきました。
真っ先に気づいたパートナーのみくが尋ねても、李衣菜は「何でもない」と答えをはぐらかすばかり。
何でもないと言われても、何でもないわけじゃないことはみくにも明白でした。
CIの3人に相談しますが智絵里とかな子に特に心当たりはないとのこと。
「仕事のし過ぎでストレスが溜まってるんじゃない?」という杏の杏的模範回答は「し過ぎ」の部分だけ都合よく省略されて(笑)、みくに衝撃を与えました。
*はロック&猫をぶつけあってこそ輝くユニット。
しかしお互いの主張をぶつけ合うぶんバランスが難しく2人のストレスの大きさは否めません。(多分)
最近自分のネコネコカワイイを押し付けすぎてしまったのでは?と急に心配になってしまうみく。
普段は気が強いけど、一旦好きになったら彼氏が何やっても尽くすタイプだ・・・!

346Challenge!という番組に一緒に出演する*、NGs、凸。
とときら学園が生っすか的な位置の番組かと思ったけど、体を使うようなのでこっちが近そう?
言えない悩みを抱える李衣菜と、気を使ってしまったみくの、何ともぎこちないやり取りです。
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目から上を映さない構図で、お互いに本音を喋っていないことを示す巧みな演出。
「解散だ!」と言い出さなくなったら解散が近いのか、と心配されるあべこべコンピ。
ところが、莉嘉の冗談に過剰に反応したのは卯月。今はまだ形が見えてきませんが、卯月の抱えている想いとは一体。

常務の社内オーディションには無事合格したのか、夏樹、涼、輝子の3人は常務とともに今後の打ち合わせに入ります。
3人は前回予告のあったオータムフェス、そこでのデビューがすでに決まっていました。
他にも数ユニット同時デビューする予定なのだとか。常務の手がけるプロジェクトの本格始動はそこから、ということなのでしょうね。
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「ふーん、アタシはごきげんなステージさえできればいいけど?」
一度顔見せてやはり声付かないか・・・出ただけでも十分だよな、と思わせてやっぱり喋るパターンだあああああ!
Coが誇るロックアイドル当方ボーカル。カッコいい方の涼ちん。ハイライトが薄いのは元からなので別に催眠術で操られてるとかそんな設定はない。
ちょっと怖そうな雰囲気があるが、Coのお姉さん方は基本的に年下にデレ甘い。特に趣味のホラー映画鑑賞が共通する小梅との"りょううめ"コンビは初期からある地味に人気の組み合わせだ。

ロックなら、言葉じゃなくて音楽で語れ!ユニットの楽曲や方向性を決めるために早速セッションを希望する夏樹。ユニットの方向性について口喧嘩の絶えない李衣菜との差がこんなところにも現れている。
しかし、その必要はない、と美城常務にばっさり斬られてしまった。
美城常務にしてみれば、勝手に方向性など決められてあれをやりたい、これはやりたくないなどと言われては困るのでしょうが。
一流のスタッフを揃えているのでプラン通りにライブをやって欲しい、常務はそう命じたのでした。
あ、この人ロックが何かってまったく分かってないな?!
ロックンロールと言えば社会的従順を求められる若者の反逆のシンボルという文化的背景があるのは言わずもがな。常務の言ったことはまさにロックとは正反対すぎるのです。
やり方は一貫してますが、今回は目的に対して完全に悪手ですね・・・。
商売の才覚はあってもアイドルや音楽に対する興味が無い、というのは今後に繋がったり常務の強硬な改革の理由に関係するのでしょうか。


ロック・ザ・コンセプション
*の不調に気付いていたプロデューサーがみくを呼び止めて事情を聴きます。
一度話し合う場を設けるか、という提案に首を横にふるみく。
みくは信じているのです。李衣菜が話してくれないことにはきっと話せない理由があるんだと。大事なことなら、とっくに話してくれていると。
これもう完全に健気な彼女じゃないか・・・。
みくに自分たちを信じて欲しいとまで言われては、プロデューサーが立ち入るのも野暮というもの。プロデューサーも頷いて、2人を信じることに決めたのでした。

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一方その頃、李衣菜は夏樹に連れられてニケツでツーリングへ。
こんなロックなイケメンにツーリングに連れ去られたら惚れるしかないわ・・・。
場所は新木場の近くにある若洲海浜公園。ゲートブリッジだけちょっと変えてある模様。
突然こんな場所へやってきたのは、もちろん夏樹にも迷いが生まれてしまったから。
でも、そんな迷いを吹き飛ばしてくれるのは、
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「この間のライブみたいな、ギンギンのカッコいいステージを、いつか私もやるんだ!」
李衣菜の無垢な笑み。ロックへの純粋な憧憬しかなった、誰もが通る"にわか"の頃の気持ちを思い出させてくる、そんな笑顔。ロックさとはかけ離れた可愛すぎる笑顔だけれども。
「だりーと話してっと、なーんかホッとするな」
と、なつきちはこぼします。そしてつい、
「お前もうちのメンバーに入ればいいのに」
それは、あまりにも理想的で、魅力的過ぎる誘い。
お城の舞踏会を目前にして、李衣菜に届いてしまったライブハウスからの招待状。李衣菜にはまさに夢で、憧れそのものの舞台。
なつきちとなら自分の望む最高のロックなステージがやれるのは間違いない。
アスタリスクを組む前なら一も二もなく首を縦に振っていたでしょう。
しかし李衣菜は、夏樹の言葉に黙りこむしかありませんでした。

舞台は変わって、壁が星形――*形のブロックで有名な科学技術館。その地下にあるサイエンスホールで今日は*のライブイベントです。
ここ最近はぎこちなかったみくですが、今日は一段とやる気が入っている様子。
一方李衣菜は相変わらず。通路で立ち止まってぼーっとしていたところに思わずプロデューサーが声をかけますが、みくとの約束を信じて深追いはしませんでした。
*の大人気ナンバーであるOωOver!!で客席を最高に盛り上げる2人。
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↑ここすき。
しかしよく見れば、みくだけやたら不自然に大きく動いているのが分かります。
無理が祟ったのか、みくは振り付けを間違えて李衣菜と接触、ステージ上で派手に転倒してしまいました。
ステージで転倒?ライブって2,3回は転倒するのが普通では無いのか(アケマスP並みの感想)
なお、一瞬映る可愛いフラスタはサイエンスホールでのNGs、*のCD発売イベントでサイゲームスから贈られたものが元ネタ。

幸い怪我もなく、すぐにステージを継続してイベントとしては事なきを得ました。
しかしみくは自分のミスで李衣菜を巻き込んでしまい、楽屋で平謝り。
李衣菜はもちろんそんなことでみくを責める気はありません。しかし、みくにはどうしても自分で自分を許せない理由があったのです。
「みくだって分かってるよ。李衣菜チャンがロックに本気なんだって」
「だったら、本当はみくなんかより・・・」
「・・・でも、だから、だからこそ、みくはもっともっと頑張らないといけないの!」
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「李衣菜チャンが迷わないように・・・このユニットでよかったって思えるように・・・」
いつものネコミミを外して、猫語も封印して、みくの本音で精一杯、そんなことを。
全てを自分で抱え込もうとするみくには、李衣菜も怒りを隠しきれませんでした。
「ばか!」
「人の気持ちを勝手に決めないでよ!みくちゃんとユニットを組むのは、私が自分で選んだことなんだから!」
「でも、アスタリスクはロックだけじゃないし・・・本当はもっと、な、夏樹チャンの新しいユニットみたいな・・・!」
泣きそうな声で本当の解散の可能性に触れてしまうみくの震える肩を掴んで、言葉を遮る李衣菜。
みくにだって、夏樹とユニットを組むのが一番李衣菜の望むロックに近いことは分かってる。パートナーだから、分かってしまうのだ。
でも、李衣菜は一度だって夏樹と組みたい、組めたらいい、そんな言葉は口にしませんでした。
李衣菜自身、それを想像しなかったことはないでしょう。むしろずっと何度も考えていたはず。
それでも、夏樹とユニット組むかという疑問に答えは出なかった。なぜなら、
「いつも言ってるでしょ。『自分がロックだと思ったら、それがロック』なんだって」
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「アスタリスクが、私にとってのロックなの!」



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李衣菜の言う何でもロックは、端から見れば滑稽かもしれない。にわかの、モノ知らずな発言かもしれない。
だが李衣菜は、自分の中のロックを強く信じて、誰よりもそれを純粋に貫ける意思がある。
だからこそ、多田李衣菜はロックなのだ。
世間的なロックにだって、共通概念としてお決まりの様式美は、もちろんある。
でも、そればかり追い求めるのは、本当にロックなのか。
美城常務が用意する"ロック"は、多分誰からも文句の付けられない一流のロックだろう。
だけどそれを自分がロックだと思わなければ、本当にロックだと言えるのか。
李衣菜の言葉は、偶然楽屋の外で聞いていた夏樹の心にも突き刺さりました。
夏樹は、差し入れと伝言をプロデューサーに託して、会場を後にしました。

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二人は幸せなキスをして終了。


ロック・ザ・ビート!!!
なつきちの伝言で再びあのライブハウスに呼び出されるだりー。
そこでは、ステージ衣装に身を包んで準備を整えたなつきちが、ステージの上でだりーを待っていました。
かつて、自分が純粋にロックを追い求めていた場所で、自らの初心を確かめるかのように。
「ロックだと思えばそれがロック・・・だよな」
「お前の想い、響いたぜ。お陰でアタシも、吹っ切れそうだ」
なつきちがだりーを誘ったのはユニットを組むためではありませんでした。
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「だから、解散ライブだ。だりーとなつきち・・・1度きりの」
これは、今はひとまず別々の道を歩むことを決意しただりーとなつきち。2人へ送られるエール。
ありえたはずの可能性、その感触を確かな希望にするための儀式ではないでしょうか。
思えばだりーとなつきちの関係は非常に日が浅い。それなのにお互いここまでシンパシーを感じられる間柄になったのは、本当にみくが嫉妬してしまうほどの相性の良さなのでしょう。
だから、なつきちの手を取ってしまうのはそんな関係に甘えてしまうことにならないか。
躊躇する李衣菜の背中を押したのは、他でもないみくでした。

一日限りの限定ユニット「にわかロック」。
常務に声すらかからなかった時点でだりーがにわかなのは言うまでもないことですが、道に迷いかけてしまったなつきちもまた、自分もまだまだにわかロックだと思った故のネーミングかもしれません。
歌はなつきちのギターソロでOωOver!!のロックアレンジ。
――Over Heat?Ohデッドライン 気にしてたらつまらないぜ
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――思うまま 感じるまま まっすぐに!
ここの歌詞は今回だけのオリジナル。だりーとなつきちの、いやここ数回のシンデレラガールズを象徴するかのような一節です。

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――君と 君と さあ進もう
17話で美嘉の写真が印象的な締めに使われたように、今回はこのステージが、歌が、ロックこそが全てだと。言葉なんていらないとばかりに映像美で綺麗に締めてくれました。
今回だりーの心理描写は可能な限り台詞ではなく演出だけで見せることに重点が置かれています。それ故に解釈によってブレてしまう恐れもあるのですが(実際明らかにおかしい誤解をしてる人も散見されます)、デレアニスタッフの挑戦する姿勢、ロックですね。

結局、美城常務は夏樹はおろか涼と輝子にもロックアイドルを断られたようだ。当然であるが。
美城常務に残された切り札・・・それは、凛・奈緒・加蓮でした。

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それはそうと、EDに突然でてきて話題をかっさらっていくウサミンすき。
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四人で作る新しい"*"のカタチ。こころにつるぎー
みく回のEDが夢色ハーモニーだったのはそういうわけか。
なつななが上位互換・・・?なんのこったよ(すっとぼけ)


次回「Which way should I go to get to the castle?」
直訳すると「お城に行くためにはどの道を選べばいいの?」・・・早々に凛回、トラプリ回でしょうか。ラブライカ蘭子の話がまだなので、蘭子の可能性もある?

木曜日に14〜19話の一挙生があるので、20話から大きく話が動きそうですね。覚悟しましょう・・・。
ではでは。