魔法
日本では「魔法」といえば、メルヘンやおとぎ話、あるいは子供向けを主とした「他愛のない不思議な力や方法」を指すときの言葉としてよく使い、(中略)そう言った「魔法」のイメージは、アンデルセンやグリム兄弟の童話などが日本に輸入された際に与えられた「魔法使い」たちの印象が根底にあると考えてよい。
<Wikipediaより>

このお話は、そんな素敵なお伽話の魔法に満ちあふれていました。


ネタバレ防止のために本文は続きに格納します。
第25話「Cinderella Girls at the Ball.」
ついに迎えたシンデレラの舞踏会。
場所は幕張メッセ、次に行われる3rdライブの会場でもあります。
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着々と進んでいく準備。こういう裏方のシーンをよく差し込んでくるのはもうアイマスのお約束。
楽しいこともたくさんあり、辛いこともたくさんあった3ヶ月。その全てを歩んできた時計が今、12時を刻み、そして舞台の幕が上がります。
12時を過ぎても消えない魔法。夢の様な舞踏会の幕が。


魔法はどこにあるんだろう?
いつの間にやら、346プロダクションの総力を上げて行うことになった舞踏会。
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開演の挨拶を務めるのは、346プロの先輩アイドルたち。
なんと会場はメインステージだけではなく左右にもサイドステージを配し、その上ホールの枠を超えた複数のイベントステージを設置。
ホール間の移動は自由。見たいときに見たいステージを見るという前代未聞の規模となっています。
まるでフジロックフェスみたいな形式ですね。夢想したことはありますが、現実で果たしてそんなこと可能なんでしょうかw
これは本物の3rdライブ、シンデレラの舞踏会に期待がかかりますね。

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美城常務が認めた企画ではありませんが、それは別として統括重役としての責任があります。
美城常務も舞踏会を見に来ていました。いつも通り、来賓席の高みから。
今西部長はライブを楽しんでみたらどうだと勧めますが、常務は遊びに来たわけではないと一蹴。
そこで部長は言葉を変え、「視察」を提案します。結局やることは同じなのですが、常務はあれだけ反対した手前、おいそれとは近づき難かったのかもしれません。部長のお題目に乗っかって素直に視察に赴く常務がちょっと可愛い。

開幕から盛り上がっていく舞踏会の熱気。
控室のモニターからその光景を見ながら、シンデレラプロジェクトメンバーは各々の気持ちを高めていきます。
直前まで色々あったニュージェネにとっては感動も一入。
特にリーダーとして頑張ってきた未央は、「自分が舞台に立てること」ではなく「ニュージェネとして舞台に立てること」を、欠席した秋のライブからずっとずっと楽しみにしてきたのですから。
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これまでの出来事を思い返してか、もう泣きだしてしまう未央。
何となく未央は、ライブ終わる時はテンション上がっててあまり泣かなそうなので、そんなところも未央らしいなと感じました。

CPメンバーたちも、揃って立つメインステージの前に個別のイベントステージへと向かいます。
業務連絡だけで終えようとするプロデューサーに、部長が苦笑しながらアイドルたちに一言言ってあげるよう勧めます。
「今日の舞踏会は・・・」
プロデューサーはそこで言いかけた言葉を切り、
「・・・みなさん、今日は笑顔で楽しんでください」
と、たったそれだけの言葉で締めくくりました。
もともと長く語りたがるキャラクターではありませんが、最初の改まったような滑り出しにはそんな彼の中にも万感の想いがあることを匂わせています。
シンデレラプロジェクト解散の危機に始まって、ここまで本当に色んなことがありましたから。
でも、重要なのはそんな台詞でプレッシャーを与えることではない。今はただ、このライブを成功させること、そのためにはアイドルたちが笑顔で楽しむことが大事なのです。
「それだけかね?」と思わず部長のツッコミが入りますが、アイドルたちにはもうプロデューサーの気持ちが十分に伝わっています。
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6話のライブ前との対比ですね、ここのシーンは。6話ではプロデューサーのコミュニケーションが足りず十分に真意が伝わっていませんでしたが、今もうそんなことはありえません。

各ステージでは、アイドルが各々の個性を発揮してお客さんを笑顔にしていました。
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セ ク シ ー で か わ い い ど う ぶ つ コ ス プ レ シ ョ ー

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リトルヒーローのボイスをいつでも待ってるぜ!

自分の理想とは真逆と言ってもいいアイドルの、しかしそのアイドルたちと大勢のお客さんの「笑顔」を常務はじっと見ていました。
常務は決定的な価値観を持ちあわせてはいますが、それに合わないアイドルやそれを楽しむ人を決して馬鹿にしないところが、素晴らしく人格ができていると思います。
ネット上には「自分がつまらないと思うものを作ってる奴は馬鹿、それを楽しむ奴は馬鹿」という低俗極まりない価値観の持ち主は少なからずいますから・・・。
そして驚いたことに、常務は自分のプロジェクトであるクローネにも、舞踏会への参加を許可していたのでした。
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「才能あるものは評価する。前にも言ったはずだ」
これは常務にとってプロデューサーへの最大の賛辞ですよ。
だがしかし、ここに至ってもまだ、常務はプロデューサーの実力は認めても、その考えまでは認めようとはしませんでした。
常務にとってはアイドルとは、灰かぶりの少女たちの憧れ全てを受け止め、完全な目標として存在できる気高い美しい城という器でなくてはならないのでしょう。
だがそれ故に、全ての少女たちが城に立てるわけではない。完璧な憧れ足りえる城に相応しい輝きを持つものだけが、舞踏会への参加を許される。
全ての少女が憧れるが故に、選ばれたものしか魔法をかけることを許されない。その決定的な矛盾こそが、城の威厳だと常務は考えているのでしょう。
お城を目指す全ての人間を受け入れていては、城の威厳は失墜し、城を目指すものはいなくなる。
プロデューサーの手腕を認めはしたものの、プロデューサーのやり方はいずれ上手く行かなくなると、不吉な予言を残し、去ろうとする常務。

その背中に、プロデューサーは言葉をぶつけます。
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「城を目指す少女は、何かを願うものです」
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「想いの形はそれぞれに違う」
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「その全てが、星のように大切な輝きだと、私は思います」
なかなかにプロデューサーもデカいことを言います。
常務のやり方は、常務の優れた審美眼に拠ってはいますが、方針としてはブレないし選ばれたアイドルにリソースを集中することができる。現実的なプランニングと言えるでしょう。
しかしプロデューサーは、全てのアイドルを愛してみせると言ってのけたのです。(違
常務がプロデューサーの理想はお伽話ですらないと言ったのも頷けます。
当然、その星の輝きを全て見いだせるのか、という疑問に行き着きます。
ですが、プロデューサーはその問いには「いいえ」と首を横に振りました。
美城常務には見えなかった島村卯月の光。
プロデューサーには見えなかった渋谷凛とアナスタシアの光。
彼女たちが新たな光を見つけたことで、他のアイドルたちもまた別の輝きを探し始め、そしてその光はもっともっと大きくなっていっていました。
しかしそれもまた、無限にある可能性のひとつに過ぎないと。プロデューサーはそう言いました。
プロジェクト・クローネを否定するのではなく、それもまた可能性のひとつであると。
どのような可能性を選び取ろうとも、彼女たちが笑顔である限り、それが間違いであるはずがない。
達観したような話ですが、プロデューサーがこの境地に至ったのは、実は割と最近(20話)だったりします。プロデューサーの成長にも、美城常務という人物は必要不可欠だったのです。
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「それが、『私の』プロデュースです」
翻っては、このアニメと、このアニメで生まれたユニットさえもまた、可能性の一つでしかないということではないでしょうか。
ここでプロデューサーと視点を共有していた視聴者は一瞬武内Pとのリンクを失います。あなたのプロデュースは、あなたが決めて、あなたが行って良いのだというメッセージではないかと思います。

ある意味では無責任な話かも知れません。全ての星の輝きが大切だと言っておきながら、その輝きを見出すことを他人にも委ねているのですから。
お城に立つ少女の輝きを全て自分で生み出せる自信と、そうすべき必要があると思っている美城常務にとっては、到底許容できる考えではないでしょう。彼女はまた管理者でもあるのです。
「私は城を、君は灰かぶりの夢を第一と考えている」
「我々は平行線のままだ」
嘆息する常務。ですが。
「・・・彼女たちは我々の平行線すらも越えていくのか?」
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ニュージェネレーションズと、トライアドプリムスという可能性の平行線。
「はい」
その枠を越えて、先へ。
アイドルが自分たちの思惑さえ越えていくことに、プロデューサーは期待を込めている。常務は寂しそうに目を逸らすのでした。
常務は初めて、自分の意見が絶対であるかどうかについて、疑問を抱くことになりました。
最後まで自分の意見を変えるところまでは行きませんでしたが、決して常務が間違っているわけではないのでそれでいいのです。「私が間違っていた。シンデレラプロジェクトこそ正義だ!」なんて言い出すほうが脚本としておかしいでしょう。
アイドルの可能性は無限大にある、そのことを常務が認めざるを得なくなったことこそが、決着に相応しい形であると思います。
それにしても常務の憂い顔、本当にいいヒロインになってしまったなあw
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ステージ・オブ・マジック
トライアドプリムスのステージを終え、次はニュージェネレーションズの出番。
連戦になるも、凛の声に乱れはない。
未央は勢い余って美嘉に飛びつく。
そして卯月は。
美穂の手を握り、しっかりとその顔を見つめながら。
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「島村卯月、頑張ります!」
と、本当の『頑張ります』で笑顔を見せる。
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その姿に目を潤ませる美穂。例えユニットを組んだ期間はまだ短くても、初デビューの舞台でNGsにあのアドバイスをくれたのは彼女です。美嘉同様ずっと応援してきてくれた先輩であり、また卯月のことで心を痛めていた1人なのである。その喜びはいかほどか。

恒例のジャンケンを終え、準備万端でスタンバイする3人。
衣装はデレステでSSRとして堂々と登場した新規衣装・ステージオブマジック。
その名の通り、魔法のステージを体現するためにこそある意匠。
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「じゃあ、行こうか」
「うん。私たちの、これまでの全部で」
「はい!・・・行ってきます!」
それを笑顔で送り出すプロデューサー。
ここでついに、満を持して卯月の番が回ってきました。

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「生!」
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「ハム!」
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「メローーン!」

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3話の、初舞台と同じような登場の仕方。
でもこのステージは自分たちのもの。規模も、熱量も、かける想いも、絆の強さも、何もかもが違います。

新曲「流れ星キセキ」
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三色異なる流星が1つになって生まれる奇跡。
3人が願い星にかける祈りに形はないけど、きっと光を信じたいという気持ちそのものが願い。
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「「「みっつ揃って流星になっていつまでもずっと――」」」
同色の三つの波紋が無尽に広がるTrancing Pulseとは異なる、希望の色に満ちた歌となっています。
念願だった新生ニュージェネレーションズのステージを終え、プロデューサーから贈られた最高の労いの言葉。
「いい・・・・・・」
「笑顔です」
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M@GIC
輝かしい舞踏会もついにクライマックス。
トリを務めるのはもちろんシンデレラプロジェクトの14人。
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後期OPで目を引いたクリスタルナイトパーティに身を包んだ彼女たちが歌うのは、新曲「M@GIC」。
タイトルはその名の通り魔法だが、アイマスでは特別な意味を持つ@の文字を与えられた、デレアニのシンボルとなる位置づけの歌である。
この歌は最初ですでに階段を駆け下りるところから始まる。しかしガラスの靴は消えることはない。もうすでに彼女たち自身が魔法を持っているのだから。
そこから繋がるメロディ部分の針音がリズミカルで特徴的。

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敬礼智絵里可愛い・・・ふわあああ・・・

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「だってシンデレラは 頑張り屋でしょ」という歌詞に溢れるシンデレラという物語に対する理解感。
あれは不幸な女の子が偶然に奇跡を与えられるストーリーではなく、努力した女の子が僅かなきっかけで成功を自ら掴みとるお話なんですよ。

頭上に輝く星形の証明と吊るしモニターは10thライブでも使われたもの。ハッキリ言って観客席からはほとんど星形に見えないので(笑)、上下からの撮影用ギミックと言えます。
もちろんアニメではその星の美しさを存分に描けるのですが。

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「ありがとう 今本当の魔法を伝えるために歌うから」
「『ここ』で巡り会えた」
「ずっと大好きな君に」
ここは、アニメなのに動かさない、アニメだからこそあえて動かさないという常識を逆手にとった演出手法が取られている。
当然だが作画班が力尽きたわけじゃない。
劇中ライブの演出としても「ここはアイドルが動かずに歌う」という方針が取られており、現実と虚構の高度なシンクロニティが見られる。
実際のライブでも、バラードやクライマックスではあえて踊らず演者が歌のみに集中する演出が選ばれることがある。ここがそれと同じだ。
ビジュアルでも、ダンスでもなく、この瞬間は歌声に全ての気持ちを乗せて伝えようとしている。
アニメの中の観客に、そして、アニメを見ている全ての視聴者に。
つまりここがこのステージの一番重要な、監督が伝えたい場面なのである。

常務もまた、美しい星の輝きを観客席の一角から眺めていました。
「ここで見ていたのだね」
「・・・たまには城から出て、星を見上げるのも悪くないと思ったものですから」
自分では見ることのなかった、あるはずがないと決めつけていた星の輝き。
だが、それは見えていなかっただけで、星はずっとそこに輝いているのだと、気付いて初めて見えるようになったその光。
常務は魔法使いでした。でも、シンデレラたちは魔法が解けても、光を信じる気持ちを魔法に変えて、自ら先に進みだしたのです。
解散騒ぎへの明示的な決着ではなかったものの、そんな光があってもいいと思えるようになっただけで、常務は大きく変わったのだと思います。


ネバー・エンディング・ストーリー
そして。
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雪の舞い踊る季節から、桜の舞い散る季節へ。
時計の針は一巡りして、また新しい物語の時を刻みます。
薄暗い倉庫から抜け出し、お城へと舞い戻ったシンデレラたち。
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シンデレラプロジェクト、第2期生。
これは・・・アニメ2期フラグじゃな?^^
舞踏会で輝かしい光を放った1期生たちもまた、さらに自分を磨くべく冒険を続けていました。

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ダイバーシティ東京の階段ステージ。

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天使と自称・天使。

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びびっど☆モデルきらりだあああああ!この衣装とカードイラストJOJOっぽくて好き。

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ロリ組がいたのはラゾーナ川崎かな?
だりなつがいるのはこのアニメ企画が動き出した、新宿アルタ前。

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ド ー ナ ツ 監 修 椎 名 法 子
誰だここにこんなに気合入れたのw

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五十嵐響子P昇天。
卯月の初期Nであるピンクチェックスクールはこの3人のユニットなのです。
凛におけるトライアドプリムス、未央におけるポジティブパッション的なユニットが卯月は固まっていないので、ピンクチェックスクールには期待。

舞台は物語の幕開けであるパシフィコ横浜でのSpring Festivalへ。
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あのときと同じように3人がぶつかって、プロデューサーがガラスの靴を拾って。
でも、このライブのメインを務めるのは我らがシンデレラプロジェクト第1期生。
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何もない真っ白なTシャツ姿から、魔法のようにお姫様へと姿を変えて、彼女たちは新しい舞踏会への階段を登ります。
その道先を照らすのは、もちろんプロデューサーの役目。

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そして、ステージに並び立つ彼女たちの姿を見て、また新しく誰かがお姫様へと憧れるのでしょう。

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大時計が12時過ぎを刻んだ時、新しい物語が動き始めます。
アイドルという物語に終わりはない。

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――お願い シンデレラ
   夢は夢で終われない
   動き始めてる
   輝く日のために!


アニメ アイドルマスターシンデレラガールズ・完


・・・というわけで、無事テレビ放送最終回までこの感想記事も完走することが出来ました。
終わってみれば本当に色々な名シーンに溢れた作品になりましたね。
やたら長くやってたように感じるのは、やはり途中で3ヶ月空いたせいかw
全体的に雰囲気が重くなってしまった後期ですが、最終回最後のシーンでCP全員の表情が映るとき、みんな少しずつプロとして成長した雰囲気に描かれていて、そのカットの説得力が高まったかなと思います。
NO MAKEやデレステのシナリオはそこまで重くなく起承転結がしっかりしていて笑いあい涙あり・・・となかなか高度にまとまっているので「こっちをアニメ化しろよ」という声もありますが、それには半分同意といったところですね。
それらを映像化して見たいという気持ちはありますが、現状のアニメを否定するわけではありません。
逆にあの重苦しいシナリオを映像の伴わない媒体で表現するのはかなり難しいと思います。いっそ小説ならやれるかも?
少なくとも、この物語はアニメだからこそやれたこと。視聴者にかかるストレスがNO MAKEやデレステで緩和できるからこそ、思い切ってこういうシナリオに舵を切れたのかなとも感じました。

個人的には、純粋に評価すると25話の中で17話が一番良かったと思います。
三者の絡む密度の高いシナリオを1話の中に完璧に描き、緊張するシーンもネタ的な笑いもありながら最後は暖かく泣かせに来る展開がツボです。
演出も映像も押し並べてよかったですし、自分のストライクゾーンに直撃。ラストの美嘉のポスター、「カリスマJC城ヶ崎莉嘉の、姉だからね!」からの新曲!作画も演出も台詞も歌も全てが最高でした。
もう私色ギフトのイントロで毎回泣くくらい刷り込まれてます。るるきゃんの歌声本当に好き。

いよいよ書くこともなくなって来ましたが、アニメBD・DVD9巻には26話がありますからね!(宣伝
次はそちらの感想を書ければと思います。
それではまた、いつか。