たち別れ
いなばの山の
峰に生ふる
まつとし聞かば
今帰り来む


どうも、副管理人のMA108Pです。
長らく病気を患っていた管理人(猫)のルネが今日未明、御山へと旅立ちました。
人界で生を終えた猫は皮を脱ぎ、山奥にある猫の国で温泉に入って疲れを癒やすのだそう。
その国でお勤めをして、仲間内での格を上げることもできるのだとか。
そしてまた、別の皮を被って人界へと戻るのです。

――虹の橋よりは、こっちの方がいかにも日本らしくて好きかな。


ペットロスという単語もありますが、自分でも思ったほどにはショックを受けていません。
腎臓病に倒れてから3ヶ月以上も経ちましたし、覚悟が出来ていたのでしょう。
食事を自力で食べようとしないため、いつか回復して自分で食べてくれることを祈って毎日強制給餌を行い命を繋いできましたが、やはり限界でした。
ここ数日は立って歩くことさえままならない様子で、別れも遠くないものと思っていましたし。

家中を駆け回って困らせたやっちゃ猫が、たった50センチの段差も登れなくなり、毛がボロボロに抜け、見る影もなくやせ細った姿は見ていて辛いものがありました。
こんな状態になってまで無理に生かす意味はあるのかと何度も自問自答しましたが、そんなになっても擦り寄って甘えてくるんですよね。
撫でると目を細めて額をこすりつけてくる愛猫を見捨てることなどできるはずもなく。とうとうこの日を迎えました。
外出していて死に目に会えなかったのが心残りですが、さりとてずっと家に閉じこもっていらるわけがないので、仕方のないところです。
でもやっぱり、俺が家に帰るまで待ってて欲しかったな。最期まで自分勝手な奴でした。まあ、猫だからね。

残された「皮」は然るべき手続きに則って処理しました。
その間もずっと涙は浮かんでこなかったので我ながら少し冷淡すぎやしないかと思っていたのですが、家に帰ってきて、「ただいま」を言う相手がいない生活に戻ったことに気づいて、少し泣きました。
10年間、ありがとね。