※例によってネタバレ注意

もう艦これはブラウザ版引退してしまったのですがそれなりに愛着はあったようで、初日に見に行っちゃいましたよ。
TVアニメ版はそりゃもう酷かったので、劇場版もあんな腑抜けた出来だったらけちょんけちょんに扱き下ろしてやろうと腕まくりして見に行ったのですが、存外普通の作品に仕上がっており拍子抜けしました。
面白さで言えば確実に凡作なんですが、TV版がアレだっただけに満足してしまったのが悔しい(笑)
最初からこれくらいのクオリティがあればあそこまで叩かれなかったものを……。

最初の海戦からもう画が動く動く。空戦も砲戦も描写が大きく改善されようやく及第点になりました。
瑞鶴のスライディングしゃがみ構え発艦好き。
可愛い妖精さんもいっぱい描かれて和むと同時に、艤装動かしてるのこいつらだったのかと初めて知ったり。
「○○型○番艦○○」と大きく紹介が出てくるの、アニメ勢にはありがたいと思うんですが何故最初だけしか使わないのか。
限って使うならまずメインキャラに使えメインキャラに!

劇場版で一番よく描かれていたのは天龍だと思うので天龍提督は這ってでも見に行け。
どうせ剣を使うならそのまま深海棲艦ぶった斬るくらいのことはやってもよかったかも。深海棲艦が体当たりして砲塔を逸らすなどのアクションもあったし。
一方影も形もない不幸姉妹提督は泣いていい。役目が完全に大和に取られてる。吹雪の憧れとはなんだったのか。
あと相変わらず波の表現がおかしい。外洋はもっと波がうねっているものだ。
(本来艦娘の身長では水平線が見えなくなるほどだが、そこまでやるのはアニメ表現的に疑問も残るか)


如月ぃーーーー!!(´゚д゚`)

あんまりいないと思うけど如月についての説明が一切ないので劇場版初見の人は完全に置いてけぼり。
そもそも何の価値もなかったTV版のシナリオがようやく劇場版で意味を持つので、TV版の不要なシーンを全部カットして劇場版と繋げて最初から劇場版2部作とかにすべきだった。

にゃしぃとか言わない方の睦月、話の都合でいつの間にか改ニになるの巻。
提督は北方海域に行ってて不在は噴いた。作戦は相変わらず長門()に丸投げ。せめて吹雪の秘密に一枚噛んでいたら面白かったのだがそれもなし。
こんな扱いなら最初から居ない方がマシだった。設定上存在するというだけで不快感が生まれる稀有なキャラに成り果てた。
空母勢は機密について知る権限があるようだが、艦娘内で明確に階級を設けるのは正直あまり好みではない。
幕間につかの間の安らぎ。カレー回のような不快などんちゃん騒ぎやレズ劇場ではないが、単に艦娘が画面に写っている声が聴こえる以上の感想も存在しない退屈なシーンだった。
スタッフはよほどお気に入りなのか「さすが大和ホテルだ!」→「ホテルじゃありません!」をまたも脈絡もなくぶち込んできたが、何の捻りもなくアレやって面白いと本当に思うんだろうか。こっちは真顔だ。

この世には仕事が雑な人間がいる。掃除機を丸くかける奴、雑誌や書類を縦に積んだだけで片付けたことにする奴、そして劇場版艦これの瑞加賀を考えた奴だ。
ハッキリ言ってあんな雑に瑞加賀を描かれるなら何もない方がよっぽど妄想の余地がある。素人のSSでももう少し捻ったシチュエーションを考えるだろう。
そして軍の機密を寄宿舎横の屋外で堂々会話するシーンには感動を禁じ得なかった。当然如月が立ち聞きしてるし最早お前らわざと聞かせにいっただろ。

「艦娘が深海棲艦に、深海棲艦が艦娘になって輪廻が終わらないなら、艦娘が1人も死なず深海棲艦全員ぶっ殺せばええんじゃ」
201212160


深海堕ち如月ええぞ〜〜と言いたいが、リョナ耐性のない如月提督にしてみれば「無残に殺されたあと魔法で半死半生で生き返させられ何度も何度も剣で突かれてる」状態であって同情を禁じ得ない。あの顔芸と演技は少しやりすぎたかも。
あと如月がフード被ったときレ級来るかな?と思った。

芋の足りてない吹雪さん、実は今の鎮守府にくるまでの記憶を失ってた。(ナンダッテー
TV版の設定と微妙に矛盾するような……。
かと思えば加賀さんも元深海棲艦だった。実はみんな深海棲艦やったんやでオチではなかった。
マルバツゲームほどの戦略性もなかったTV版に比べて、広がり続けるダメージ床、敵に制圧されたら奪還は不可能、という状況がわかりやすくなっていた。
突撃部隊、遊撃部隊、調査部隊、最終防衛線などなど作戦を見ても真っ当に感じる。マルバツゲーム(略)に比べて劇的な進歩である。
いざ戦闘に入ったら全員目の前の敵とドンパチするだけなので描写からは一切作戦が伺えないのがさらに凄い。
時間がなかったとは言え、赤い海の中心に何があるかわからないのに偵察もなしに最終作戦に踏み切るあたりやはり有能()な司令官である。
最終決戦の部隊分け発表ってクライマックス前の一番盛り上がるシーンにできると思うんですが、ア艦これスタッフとはとことん感性が合わないらしい。
加賀さんが赤い海でダメージを受けるかどうかがハッキリ知りたかったかも。設定的に深海棲艦から普通に艦娘に戻っただけでは定めの軛から抜け出せてないので吹雪だけか。

ソロモン諸島決戦では暁の探照灯や比叡の被弾、ぽいぽい無双など史実を踏襲したシーンを入れようという意気込みがよかった。
原作にはない艦娘の流血描写に踏み切ったのは意外。逆に深海棲艦側はTV版のグロ描写はオミット。当然だね。
睦月のピンチに駆けつける深海棲艦化如月カッコヨス。でも特に問題なく簡単に深海棲艦の力を我が物にしていてツマラン。そこは睦月と一戦やりあってこそだろう。
大和の砲塔ヘッスラとかいう珍プレー。シナリオ上しょうがないが駆逐艦を戦艦が勢い良く庇う絵面がね……。
クライマックスでは吹雪が定めの軛から抜け出した特別な存在である理由が明かされる。TV版でここまでやるべきだった。
オチはよいが唐突な精神バトルだけで終わってしまったのはちょっと不満かな。吹雪さんロクに戦闘描写ないじゃない。

点 滅 す る 如 月
正直笑った。いやそこは深海棲艦から艦娘に戻るだけでいいだろ!わざわざ殺すために蘇らせられたのか……。
せめて睦月が泣きながらカイシャクするとか、深海棲艦に飲まれた如月と砲塔を向け合うとかさあ……色々あるじゃん?

蘇 る 如 月
そして笑いを通り越して呆れ返った。何だこのオチ。さっき殺した意味もないじゃないか。
TV版で如月殺したまま放置したときよっぽど叩かれたのだろうか。GK(ごめんなさい如月提督)の意志を感じた。


総評としては、アクションはマシになった、不快な展開や演出がほとんどなくなった、シナリオは少なくとも意味のあるものになった、キャラクター描写についてはまるで成長していない、と言ったところ。

TV版よりマシになったがア艦これのキャラ同士の会話は何故あんなに上滑りするのだろう。妙なよそよそしさと言うか、全員が鏡に向かって話しているようだ。
那珂ちゃんが明らかに喋りそうなタイミングで喋らなかったのは台詞がカットされたせいであることが舞台挨拶で明らかになったし、全体的に感じる妙な違和感はヘタクソな編集を入れているせいなのか。

結局、吹雪・睦月・夕立の3人が固まってた意味とはなんだったんだろう。お互いがお互いのことに一切言及せず「ただの仲間」以上の関係性は見いだせない。
吹雪は赤城、大和とばかり会話するし、睦月は如月如月アンド如月で他の艦娘を心配する余裕などないし、夕立は戦闘面で活躍するものの暴れるだけ暴れて最終局面ではさっさと離脱組に入ってしまう。
大きな問題を解決する、感動のシーンを演出する、戦闘で活躍する、という本来主人公がすべて受け持つべき役割を単純に3つに割って3人に分け与えたため、作品の軸が完全にブレている。
如月の存在自体はシナリオに大きな意味があるが、如月も吹雪とろくすっぽ会話しないので物語が育たない。
他の艦娘を差し置きあまり接点のない3人を組ませておいて何の話も作らなかったのは、創作の根幹を否定するものだろう。

まあ最初に言った通り良くも悪くも凡作でまとまっているので、1回見に行っても損ではないと思うしこれ以上の感想は自分で見てもらうのが一番かなと思います。
そんな感じで、では。